MESSAGE

Make it a better place
for you and for me
and the entire human race.

コールドストレージ・ジャパン株式会社 代表取締役

後藤 大悟

起業のきっかけ

人から人へ物を届ける物流業は、人類の生活が豊かになるために欠かせず、文明社会が生まれた時から存在していたと言われます。私は、幕末の神戸港開港から続く総合海運・物流企業の創業家の六代目長男として生まれました。大学時代には開発経済学を学び、社会人となってからも様々な物流に関するビジネスで世界中の現場に立ち会い、多くの人たちの暮らしを支えるいわば「縁の下の力持ち」としての事業に、私は誇りを感じています。

しかし実際に物流業務に携わるうち、特に食や医療など人々の生命に直結するコールドチェーン(冷蔵・冷凍物流)が現在の仕組みのままでは、多くのビジネスにも、地球環境にも大きなボトルネックとなり続けていく事に気づきました。


現在コールドチェーンは、多額の初期コストをかけて大型倉庫を建設し、電気を大量に用いて維持し、大型トラックで一度に大量に輸送する物流体制が主流となっています。たしかに、食品メーカーや大手流通業者が自社商品の流通において個別の輸送コストを最小化する、あるいは中央卸売市場に商品を集めて巨大消費地に優先的に再分配するなど、いわば中央集権的な物流体制における効率化という点では、優れた仕組みです。

しかし一方で、小ロットでの出荷が中心の小規模事業者にとっては個別の輸送コストが大きく、輸送時間も増え、利用しにくい仕組みとなっております。そのために、たとえば近くのスーパーが海外を含む遠方から運ばれた魚介や野菜を仕入れられたとしても近郊の生産品を取り扱えない、あるいは生産者もまた近隣の消費者に良い状態の品を届けたくても手段がないという事態が、発生しています。これらは、生産地においてのフードロス問題が生じる一因となっていますし、また大量・長距離輸送によるCO2排出等の環境問題や、長時間の過酷な労働による社会問題にもつながっています。それらを早急に解決する為に世界中に新しいコールドチェーン(次世代コールドチェーン)を広げていく事が、とても大切であると思いいたりました。

現在、世界がフラットすると言われる中で物やサービスの流れが活発化し、冷蔵・冷凍輸送のニーズはこれまで以上に急速に高まっています。そういったなかで当社はこれまでなかった小型のコールドストレージを多極的に配置する次世代コールドチェーンという考え方で、より手早く、より安価に世界中にコールドチェーンを広げていきたいと考えています。

冷蔵・冷凍物流における
フィジカルインターネット(次世代コールドチェーン)の実現

社が掲げる次世代コールドチェーンとは、小型のコールドストレージ(冷蔵・冷凍保管設備)の多極的な配置によって物流を最適化する、新しい冷蔵・冷凍物流システムです。現在、物流需要の増加と人手不足を背景に、目的地までのルート上にある倉庫を中継点とすることで効率的な物流の実現を目指す「フィジカルインターネット」の2030年実現に向けて国をあげての取り組みが始まっていますが、その冷蔵・冷凍輸送版ともいえます。

次世代コールドチェーン実現の鍵となるのが、物流の全プロセスにおける適切な温度管理です。そこで弊社では、従来の流通では想定されていなかった、小型コールドストレージの独自開発に取り組みました。初期導入コストだけでなく運用コストも抑えられる小型コールドストレージが実現すれば、誰もが手軽に自前の冷蔵・冷凍倉庫を持つことができるようになります。

世界各地に小型コールドストレージが多極的に活用され、それらが有機的につながると、どのようなことが起こるでしょうか?たとえば生産者は、産地ですぐに商品を適切に冷蔵し、注文に応じて鮮度が良い状態の生産物を発送して、そのままスーパーや食卓に届けられるようになります。畑や漁港で出荷できず廃棄処分される生鮮品の量が減りますし、生産者にとってはビジネスの幅が広がり、消費者にとっては毎日の食を楽しむ選択肢が増えます。このように、次世代コールドチェーンは、多くの人をより幸せにする可能性を持っています。

当社は、小型の食品加工施設の建設もできる建築確認申請対応のコンテナ型コールドストレージ(Coldstorage Box ©)や、動く冷蔵倉庫としての冷却機能をもったまま普通免許で牽引移動可能なトレーラー型コールドストレージ(Coldstorage Box Portable ©)を独自開発。さらに、輸送中の最適な温度管理を実現するための通信技術、食品の鮮度を保つための鮮度保持技術、在庫の一元管理を可能とする販売・在庫管理システム(IoCube ©)も開発。現在もより良い物流システムの実現に向け、自社独自開発だけでなく他社との共同開発事業も含め、さらなる次世代コールドチェーンの向上に挑戦しています。

次世代コールドチェーンを通じて
世界中の人々の生活をより豊かにする

次世代コールドチェーンにより、既存の仕組みでは実現できなかった地域や分野でも、新たな価値や幸せを生み出すことができます。たとえば、離島や山間地域での小ロットの冷蔵・冷凍保管と輸送が安価で手軽に可能になることで、地域における買い物難民問題の解決や、災害時への対応も可能になります。また生産地におけるフードロス問題解決、国内外へのビジネス機会創出による地方創生が考えられます。さらに活用方法によっては、輸送効率化やドライアイス使用量の減少によるCO2削減で環境負荷も低減し、長時間の長距離輸送による過酷な労働という社会課題解決にもつながります。

2023.1月