イノラックスジャパン株式会社（代表取締役社長：金田真、以下「イノラックスジャパン」）、株式会社ENJI（代表：安居亮治、以下「ENJI」）、コールドストレージ・ジャパン株式会社（代表者：後藤大悟、以下「コールドストレージ・ジャパン」）、日本ガイシ株式会社（代表取締役社長：小林茂、以下「日本ガイシ」）は、ワインの輸送・保管中の環境を視覚化するセンサータグを活用した温湿度管理サービスの開発を開始しました。ワイナリーからの出荷から納入、保管、販売までの一連の温湿度を管理することで品質の可視化が可能となり、高品質な商品の安定供給に貢献します。

近年、HACCP （※1）やGDP（※2）などによる食品や医薬品の品質への意識の高まりを受け、トレーサビリティ（生産流通履歴）確保の観点から輸送中の品質管理も求められるようになってきています。輸送中も含めた保管環境の管理が重視される食品の一つであるワインは、温湿度が品質に大きく影響します。また、輸送時の品質管理を強化するために、異常をリアルタイムに検出できる物流管理システムが求められており、薄型で扱いやすい電子タグのニーズが高まっています。これらを受けこのたび、物流とIoTそれぞれの分野で専門性を持つ4社で協業し物流管理サービスの開発に着手しました。

本サービス向けに開発しているセンサータグには、日本ガイシのリチウムイオン二次電池「EnerCera®（エナセラ）」とイノラックスジャパンのFHE技術（※3）を活用した電子ペーパーディスプレイ付きセンサータグを使用しています。温湿度などの異常が検知されると電子ペーパーディスプレイに表示されるため、製品の輸送・保管中の異常の有無が一目で分かるようになっています。また、使い捨ての一次電池を使用したタグと違い充電が可能なため、繰り返し使うことができます。薄型で曲げ耐性があるため、湾曲した面や限られたスペースにも装着が可能です。2022年1月の実証試験では、130時間継続してワインセラー内の保管温湿度のデータの取得に成功しており、イタリアから日本へのおよそ60日間のワイン輸送中の温湿度をモニタリングする実証試験も実施する予定です。

今後は温湿度管理のほか、輸送中の衝撃や位置情報などの記録も管理できるよう開発を進めます。EnerCeraは既存の二次電池に比べ幅広い温度に対応でき、直射日光が当たる場所や低温物流用途にも適応するため、将来的にはワイン以外にも食品や医薬品など幅広い分野の物流に組み込んだ実証を行う計画です。物流のIoT化に向けて引き続き4社の知見を生かし、安心、安全、高品質な物流管理サービスの社会実装を目指します。